同人物、一つの症例でも、義歯の治療法は一通りではありません。

 当院は決して噛めないものは作りませんが、費用、見た目、装着感、よく噛めるという実感、等々を考え、いろいろなバリエーションをご提案しています。

 複数の治療方法が考えられる例をご紹介しましょう。


 この患者さんは30代前半の女性です。
 奥の1本は虫歯の進行がひどく、抜歯する必要があり ますが、若いこともあり、他の歯の根はまだしっかりしています。一方、色々な詰め物や被せ物は古くなり、合わなくなっていたり、破れたりしています。




 C3、C4及び神経の処置が必要な歯を全部抜いてしまい、前の歯6本のみを残して、左のBと右のBにクラスプを掛ける義歯を作製する方法。

 簡単な治療方法で、歯医者は楽ですし、患者さん側も通院回数も費用も少なくすみますが、抜いた歯が多いため、作った義歯はその分大きくなり、違和感も強く、また残る歯が少なく、特に噛む力を出す臼歯が1本も なくなるために強く噛めなくなります。

 できることなら避けたい治療方法だと言えるでしょう。

 


 


 C4だけは抜歯しますが、神経の処置を行えば残すことのできるC3の歯、及び冠不適合の6本の歯にそれぞれ神経処置等を行い、クラウンで補強した上でクラスプの義歯を作製する方法です。

 義歯を入れることによって掛かる負担に対し、残る歯が負けないように適切な前処置を施すことがポイントです。

 残せる歯が多く、特に臼歯が残るので顎の位置が安定し、義歯も小さく抑えることができ、従って違和感も小さく、満足感が増します。


 


 2の治療例を更に改良、前進させた作製方法です。

 左下の小臼歯から奥の残っている歯の根を使って全部をブリッジで連結します。

 これで噛む力は十分に出ます。

 さらに、右下の小臼歯の連結クラウン部分にミリングとアタッチメント加工を施した部分床義歯を作製します。これによって左は全て自分の歯のようになり、着脱式の部分床義歯は右下の2本だけとなって、違和感の小さな 義歯にすることができます。

 治療時間は上の<治療例2>と大体同じですが、費用はそれより多く掛かります。

 この患者さんは<治療例3>の方法で治療を行いましたが、非常に高い満足感を伝えてくれました。

 さて、あなたならどの治療法を選びますか?